Accipiter Volume 14 (2008)

論文

 宇都宮市古賀志山における長期モニタリングによる鳥類出現種の変化  樋口 弘

 1993年から2007年までの15年間、栃木県宇都宮市の郊外にある古賀志山で、隔月に毎年6回、鳥類の調査を実施した。その結果、調査地では合計70種を記録した。調査地には赤川ダムという貯水池が含まれたため、カモ類やカイツブリ、ゴイサギ、セキレイ類などの水辺性の種が13種含まれた。しかし、多くは、森林性や疎林林縁性の種からなっていた。古賀志山で繁殖する可能性の高い森林性の夏鳥としては、ホトトギス、クロツグミ、ヤブサメ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリが記録された。ホオジロ、ヒガラ、カケスの出現率は、長期間を通して変化があった。このうち、ホオジロの出現率の低下は、針葉樹の成長による環境の変化によると考えられた。

 

渡良瀬遊水地における標識調査報告(2007)  深井宣男・吉田邦雄・山口恭弘・人見潤・木村裕一・市川洋子・河地辰彦

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において、2007年は46種1,570羽が捕獲され、標識放鳥または再放鳥された。100羽以上捕獲された優占種は、オオジュリン、アオジ、ツバメ、カシラダカであった。過去10年の平均と比較すると、アオジがやや多くてツグミとカシラダカがやや少なく、全体の捕獲数および種数も少なかった。しかし、優占種の構成に変化がなかったことや、調査規模が小さかったことなどを考慮すると、本年の鳥類の渡来状況は例年と大きな変化はないと考えられる。特筆すべき記録として、栃木県初記録となるシマクイナが捕獲された。また、繁殖地であるロシア連邦カムチャツカ州で標識放鳥されたオオジュリンが再捕獲された。これは、カムチャツカ半島から当地への移動回収の3例目である。

 

栃木県立中央公園における5年間の鳥類観察記録  平野敏明・岩渕真由美・綱川忠司

鳥類の種構成や相対的な個体数の長期的なモニタリングのために、宇都宮市の市街地にある栃木県中央公園(面積10.5ha)で、2003年4月から少なくとも2週間に1回、鳥類の観察を行なっている。その結果、2003年4月から2008年3月の5年間で29科76種を記録した。記録種数や個体数は、毎年、春から夏に少なく、秋冬期に多かった。主要な種は、カルガモやハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨドリ、キジバト、シジュウカラなどの都市環境に生息する種であった。一方、同公園は、コサメビタキやエゾビタキ、キビタキ、ムシクイ類などの森林性の夏鳥が渡りの途中に記録され、渡りの中継地としても利用された。また、夏期に、ムクドリやハシブトガラスは繁殖後の若鳥の採食環境としても利用した。記録率や個体数は、年によって著しく変動する種がいた。このうち、ササゴイとカワセミの記録率の変動は、池の清掃や工事のための排水による小魚の消失が原因であった。一方、カケスやシメ、マヒワなどの冬鳥の生息状況の変動は、繁殖地からの渡来数の多少と一致していた。さらに、シジュウカラやメジロ、コゲラの出現率は5年間で増加傾向にあった。これらの種の生息状況の変化は、宇都宮市における繁殖分布の拡大や個体数の増加が原因と考えられた。したがって、中央公園での定期的な鳥類の観察は、中央公園ばかりでなく、近隣地域における鳥類の生息状況のモニタリングとしても重要と思われた。

短報

渡良瀬遊水地におけるシマクイナの観察記録  深井宣男・吉田邦雄・河地辰彦

栃木県藤岡町藤岡の渡良瀬遊水地第1調節池において、2007年10月21日にシマクイナの幼鳥1羽が捕獲、標識された。

栃木県における2例目のアカオネッタイチョウの記録 角間 香

栃木県佐野市赤見町の水田で2008年7月11日の早朝にアカオネッタイチョウの幼鳥1羽が保護された。

栃木県における亜種オオヒシクイの初確認 野中 純

栃木県那須塩原市湯宮の休水田で2008年3月2日にヒシクイの1亜種オオヒシクイ4羽が観察、撮影された。

観察記録

渡良瀬遊水地で新たに記録された栃木県初記録種  日向野哲夫

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