Accipiter Volume 18 (2012)

論文

栃木県におけるヨタカの生息状況(2011)  平野敏明・野中純・石濱徹・長野大輔・手塚功・石川ふく・川田裕美

2011年と2012年の5月中旬から7月中旬にかけて、栃木県内におけるヨタカの生息状況を明らかにするために、現地調査と聞き取り調査を実施した。本研究は1997年の繁殖期に次いで2回目の栃木県における生息調査である。合計147地点で調査を実施したところ、43地点で53羽のヨタカの生息を確認した。生息が確認された43地点のうち37地点は1羽、4地点は2羽、2地点は3羽の囀るヨタカを確認した。さらに山地帯の森林では、囀らない飛び回る5羽のヨタカが観察された。ヨタカは栃木県の北西部の低山から山地帯、および東側の低山に分布し、1997年の結果とほぼ同じ傾向だった。ただし、1997年と同じヨタカの生息地同士を比較すると、本研究では23か所中10か所でヨタカの生息が確認できなくなった。ヨタカの生息地点数は、標高区分で有意に異なっており、300m未満の地域では少なかった。さらに、環境区分でも有意に異なっており、水域や薮を含む森林では多くの生息地が記録されたが、農地や宅地、ゴルフ場など人工草原が含まれる森林では少なかった。栃木県におけるヨタカの生息状況は1997年の調査結果と比較すると大きく変化していないことから、特に山地帯では安定していると推測された。しかし、日本では、野外調査に基づいた詳しい生息状況がほとんど調査されていないことから、早急に全国規模の詳しい調査が必要と考えられた。


宇都宮市の耕作地における鳥類の生息状況の季節変動  樋口弘

宇都宮市福岡町の里山の農耕地で、鳥類の生息状況の季節変動を明らかにするために1994年から2011年に農道沿い約2.5㎞で2か月に1回センサスを行なった。その結果、人家付近や農耕地、森林、水辺に生息する54種を記録した。ひと月の記録種数は、冬期から春期に多く夏期に少ない傾向があった。出現率は全体に低くかったが、キジバトやモズ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ムクドリ、ツグミ、スズメ、セグロセキレイ、カワラヒワは出現率が高く、これらの種が調査地の優占種と考えられた。主要な種の出現率や記録個体数は、月ごとに種特有の変動があった。留鳥のウグイスは4月から7月、モズでは10月、ムクドリでは5月に出現率が高かった。夏鳥のツバメは8月に冬鳥のツグミは1月から2月に出現率が高かった。個体数は調査ごとに著しいばらつきがあったが、ツグミ、スズメ、カワラヒワでは1月から2月の冬期に増加した。出現率や個体数の季節変動は、調査地の環境やそれぞれの種の繁殖行動、渡りなどと深く関わっていることが示唆された。調査地の農耕地は、繁殖期にはツバメやムクドリの冬期にはスズメやカワラヒワ、ツグミの重要な採食環境になっていると考えられた。


渡良瀬遊水地における標識調査報告(2011)  深井宣男・吉田邦雄・山口恭弘・人見 潤・市川洋子・河地辰彦

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において、2011年は38種5,083羽が新放鳥され、13種176羽が再捕獲された。100羽以上新放鳥された優占種は、オオジュリン、ツバメ、カワラヒワ、アオジであった。過去10年の平均と比較すると、昨年に続いてオオジュリンが多く、カシラダカとアオジが少なかった。全体では種数は例年より少なかったが、捕獲数は多かった。

短報

宇都宮市中心街におけるイソヒヨドリの記録  樋口弘・平野敏明

イソヒヨドリは、近年にその繁殖分布を内陸の都市部へ拡大しつつある。栃木県宇都宮市の市街地の中心地域を流れる田川約2㎞におけるイソヒヨドリの生息状況を筆者らの観察記録からまとめた。調査地では2006年から2012年に合計43例の観察記録が得られた。繁殖を示す記録は得られなかったが、4月から6月に一緒に行動する雌雄が観察されたことから繁殖した可能性が高いと考えられた。5月から6月の繁殖時期に観察された場所は、中心街のビル街であった。ただし、生息数は1つがいと少なかった。調査地では、イソヒヨドリの記録は2006年以降増加したと考えられる。

観察記録

初冬期におけるキビタキの観察記録  平野敏明

特異な羽色を持つトラツグミの観察  小堀脩男・大塚啓子

ナベヅルの栃木県における2例目の観察記録  野中純

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