Accipiter Volume 23 (2018)

本号は、内容をさらに追加した後、2018年12月頃の発行を予定しています。

論文

渡良瀬遊水地における標識調査報告(2016)

 山口恭弘・人見 潤・河地辰彦・木村裕一・吉田邦雄・市川洋子

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において、2016年は47種1,346羽羽が新放鳥され、14種77羽が再捕獲された。100羽以上新放鳥された優占種は、アオジとオオジュリンであった。過去26年の平均と比較すると、カシラダカが非常に少なく、アオジ、オオジュリンが少なかった。渡良瀬で捕獲された20種で尾羽異常を調べたところ、ホオジロで10.0%(20羽中2羽)、カシラダカで40.9%(22羽中9羽)、アオジで15.3%(98羽中15羽)、オオジュリンで37.5%(461羽中173羽)で確認された。また,少数ではあるがジョウビタキ、ベニマシコ、クロジでも確認された。

 

短報

栃木県におけるチュウジシギの初記録

 -渡良瀬遊水池においてオオジシギとして標識放鳥したジシギ類の再検討-

深井宣男・小田谷嘉弥・吉田邦雄.

1997年9月27日に、オオジシギとして標識調査中に捕獲・標識された1羽のジシギの最大翼長や外側尾羽の色彩を再検討したところ、チュウジシギと識別された。本記録は、栃木県における確実なチュウジシギの初めての記録である。

 

奥日光戦場ヶ原におけるオオジシギの小規模繁殖個体群の安定性

 -1990年代後半から2010年代の調査から-

平野敏明・伴孝夫・石塚文信・笠原猛

オオジシギは、栃木県では1990年代になるとその生息数が著しく減少した。一方、日光市戦場ヶ原(標高1400mの高層湿原)は本州中部における代表的な生息地の一つである。筆者らは、戦場ヶ原におけるオオジシギの個体数を1kmの距離で1990年代後半から定期的に調査してきた。また、2016年の繁殖期には湿原の3か所でディスプレイ中の雄の個体数を調査した。その結果、戦場ヶ原におけるオオジシギ雄の個体数は、1990年代後半から2010年代後半では少なくとも5-7羽が記録された。したがって、この地域では著しい生息状況の悪化は認められなかった。おそらく、戦場ヶ原は良好な繁殖環境が維持されているためと考えられる。しかし、個体数をモニタリングするために、今後も継続した調査が必要である。

 

観察記録

栃木県におけるノハラツグミの初めての記録  齋藤禎治

2018年2月17日、日光市戦場ヶ原にてノハラツグミ1羽が記録された。本記録は、栃木県における本種の初めての記録である。

 

栃木県における確実なナキイスカの観察記録 中村仁

日光市中宮祠の戦場ヶ原において、2018年2月から3月にかけてナキイスカが少なくとも2羽(雌雄)記録された。本記録は1910年以降における栃木県での本種の確実な観察記録である。

 

宇都宮市におけるオオバンの繁殖記録  石塚文信

2018年7月から8月に宇都宮市の商業施設の調整池で1つがいのオオバンの繁殖が確認され、8月下旬に2羽の幼鳥が巣立ちした。本記録の調整池は、栃木県における本種の2か所目の営巣地と考えられた。

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