Accipiter Volume 24 (2019)

論文

農作業にともなう戦場ヶ原におけるムクドリの地域個体群の変遷

 平野敏明・笠原猛

高層湿原からなる栃木県日光市戦場ヶ原では、ムクドリSpodiopsar cineraceusは少なくとも1950年代末から繁殖するようになった。しかし、近年になって、戦場ヶ原のムクドリの繁殖期の生息状況が悪化したように思われた。そこで、同地におけるムクドリの繁殖期の生息状況を、過去のセンサス結果と比較するために2018年の繁殖期に3か所でラインセンサスを実施した。その結果、2018年の繁殖期には、3か所の調査地ともまったく生息を確認できなかった。過去の調査結果から、この地域ではムクドリは2010年代になって記録されなくなったことがわかった。この生息状況の変化は、隣接する農地の拡大にともなって生息していたムクドリが、農地における農作業の時期的変化によって本種の繁殖期の採食環境が悪化したことから調査地に生息しなくなったと考えられた。

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