「那須ガーデンアウトレットの緑地帯保全について」の要望書を那須塩原市に提出

2021年7月8日16時、日本野鳥の会栃木県支部支部長 内田裕之と同保護委員長 高津戸博、同副支部長でオオタカ保護基金代表 遠藤孝一の3名が那須塩原市役所を訪問し、「那須ガーデンアウトレットの緑地帯保全について」の要望書を提出しました。

 

要望の内容は、次の2点です。 

  1. 現在の「緑地協定」を継続し、アウトレットの周囲にある幅25mの緑地帯を、現況のまま保全してください。
  2. 緑地帯を改変して駐車場として利用する場合は、同等の面積・質を有する樹林地をアウトレット内あるいは隣接地に確保して、法的拘束力を伴う形で保全してください。

 

■要望の背景・理由

 

1 事業者が開発時に残された緑地帯を改変して駐車場に

現在ある那須ガーデンアウトレットの敷地は、当初は産業団地(いわゆる工業団地)として開発されました。その時に、希少な猛禽類であるオオタカ(国および栃木県レッドリスト:準絶滅危惧)の生息地になっていたことから、保全対策としてその一部である3haの樹林地を残すとともに、団地内における良好な環境と景観を維持するために、周囲についても25m幅の帯状の樹林地(以下、緑地帯)を残しました(下の平面図、緑地帯写真参照)。しかし、アウトレットの事業者である双日商業開発株式会社(以下、事業者)がこの緑地帯の一部を敷地利用の変更に伴い、駐車場として利用しようと計画しています。

平面図
平面図
西側緑地帯
西側緑地帯
東側緑地帯
東側緑地帯

2 緑地は、協定により守られるべき

この緑地帯は、「都市緑地法」に基づき、開発時に土地所有者等の栃木県と那須塩原市が「緑地協定」を締結して保全してきたものです。利用目的が産業団地からアウトレットに代わった現在も、事業者と那須塩原市によって協定は継続され、生きています。一方で、「都市緑地法」では、協定の変更は土地所有者等の全員、廃止はその過半数の合意によって行うことができるとなっており、事業者と那須塩原市が合意すれば、協定の変更や廃止は可能です。すなわち、緑地帯の改変は法的にはできます。しかし緑地帯は、開発時に自然環境や景観の保全措置として残された樹林地です。これを改変することは、開発時の保全対策を無にするもので、決して容認できるものではありません。ましてや、それに行政が同意という形で加担することはあってはならないことです。那須塩原市は、協定の変更や廃止に合意せず、緑地帯を現況のまま保全するように努めるべきです。

 

3 やむを得ず改変する場合は、同等の面積・質の樹林地を法的拘束力もって保全

ただし、やむを得ず改変する必要がある場合は、代替の保全措置を実施するという選択肢もあると考えます。改変する緑地帯と同等の面積・質を有する樹林地をアウトレット内あるいは隣接地に確保する方法です。事業実施上どうしても緑地帯を改変する必要がある場合は、那須塩原市は事業者に対して法的拘束力を伴う形での代替樹林地の確保を助言・指導すべきです。

 

■要望書を提出して 

要望書提出後、那須塩原市と意見交換を行いました。その中で、鈴木隆行都市計画課長は、「緑地帯の設置の趣旨や目的は、理解している。事業者にはオオタカ保護基金とよく話し合うように指導している。保護基金の合意なくして、市は同意しない」、「オオタカ保護基金、事業者、市の三者の合意なくしては、進めない」と明確に発言しました。また、三者に日本野鳥の会栃木県支部を加えた四者の協議の場を市が中心になって設置して欲しい、と言うこちらからの提案についても、前向きに検討すると言う回答を得ました。今後、この問題が本日の要望に沿って良い形で解決できるように、引き続き対応していきます。

 

要望書

要望書.pdf
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