Accipiter Volume 22 (2016)

論文

宇都宮市東部におけるアカハシハジロの越冬記録  阿久津 忠

 

アカハシハジロは,日本では稀に記録される冬鳥である.しかし,本種の雄1羽が,栃木県宇都宮市東部の小規模な貯水池や河川の流路で2014年と2015年の冬期に2シーズンにわたって記録された.2014年冬期では46日間にわたって近隣の3か所の池沼や止水域をともなう流路に滞在し,2015年冬期は前年の河川の観察地から約1.4㎞の距離の流路に20日間滞在した.これらが同一個体かどうかは明らかでなかったが,本記録は,本種の栃木県における2番目と3番目の観察記録であった.なお,2014年の12月には栃木県北部の貯水池や流路でもアカハシハジロ雄1羽が観察されたが,これらの2羽は同時に2か所で記録されなかったことから,2014年冬期の本調査地の個体は栃木県北部で記録された個体と同じ個体であることが示唆された.

 

渡良瀬遊水地における標識調査報告(2015)

山口恭弘・人見 潤・河地辰彦・木村裕一・吉田邦雄

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において,2015年は30種818羽羽が新放鳥され,10種31羽が再捕獲された.また,渡良瀬で新放鳥し2015年に他所で再捕獲された個体がオオジュリンで21例あった.100羽以上新放鳥された優占種は,カシラダカとオオジュリンであった.過去10年の平均と比較すると,カシラダカが多く,アオジが平年並み,オオジュリンが少なかった.尾羽異常を調べたところ,ベニマシコで16.7%(12羽中2羽),カシラダカで1.0%(98羽中1羽),アオジで2.1%(48羽中1羽),オオジュリンで28.0%(336羽中94羽)で確認されたが,ホオジロ(10羽)では確認されなかった.

短報

 

栃木県におけるチフチャフの初めての記録  小堀脩男

栃木県南部の渡良瀬遊水地において2016年12月17日から2017年1月5日にかけてチフチャフPhylloscopus collybito 1羽が観察された.本記録は,本種の栃木県における初めての観察記録である.

 

観察記録

栃木県におけるレンカクの初記録  内田孝男

宇都宮市の市街地で繁殖したケリ  平野敏明